戸籍を集めただけでは終わらない?法定相続情報証明制度をわかりやすく解説

戸籍を集めただけでは終わらない?法定相続情報証明制度をわかりやすく解説

相続手続では、まず戸籍を集める必要があります。

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を取得し、相続人を確定する。

相続に関する記事や解説を見ると、ここまでが最初の大きな手続きとして紹介されることが多いと思います。

しかし、戸籍を集めたからといって、相続手続が終わるわけではありません。

不動産の相続登記、銀行預金の解約、証券会社での名義変更など、実際の手続きはこれからです。

そして、そのような手続きを進める際に利用できるのが「法定相続情報証明制度」です。


法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、相続人が戸籍等を法務局へ提出し、相続関係を一覧にまとめた「法定相続情報一覧図」の認証を受ける制度です。

法務局で認証を受けた法定相続情報一覧図の写しは、相続登記や預貯金の解約などの相続手続において、戸籍の束の代わりとして利用できる場合があります。

簡単に言えば、

「相続関係を1枚の書類にまとめて証明する制度」

です。

制度の詳細については法務局のホームページで確認できます。

【法務局 法定相続情報証明制度】

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html


法定相続情報一覧図を見てみる

法務局では、法定相続情報一覧図の記載例を公開しています。

【主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例】

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

初めて見る方は、

「相続関係がきれいに整理されていて分かりやすいな」

と感じるかもしれません。

実際、一覧図を見るだけで、

  • 誰が相続人なのか
  • 配偶者がいるのか
  • 子がいるのか
  • 代襲相続が発生しているのか

などを把握しやすくなります。


一覧図は1枚。でも、その裏には何通もの戸籍がある

法定相続情報一覧図を見ると、相続関係がとてもシンプルに整理されています。

しかし、その1枚の一覧図が作られるまでには、多くの戸籍を確認していることがあります。

例えば、

  • 生まれてから亡くなるまでに何度も転籍している
  • 離婚や再婚をしている
  • 子が先に亡くなっている
  • 相続人が多い

このような場合には、確認しなければならない戸籍の枚数も増えていきます。

一覧図は1枚ですが、その裏側には何通もの戸籍が存在していることも珍しくありません。


前妻との子は相続人になる

相続人を確認するために出生から死亡までの戸籍を取得する理由の一つが、過去の婚姻関係を確認するためです。

離婚した元配偶者は相続人ではありません。

そのため、法定相続情報一覧図にも記載されません。

一方で、前妻との間の子は法定相続人になります。

法定相続情報一覧図には、その子が相続人として記載されます。

現在の家族構成だけを見て、

「相続人は今の配偶者と子どもだけだろう」

と思っていても、戸籍をたどることで前婚姻中の子どもが相続人として判明することがあります。

そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認することが重要になります。


代襲相続があるとさらに戸籍が増える

法務局の記載例の中には、代襲相続の事例も掲載されています。

代襲相続とは、本来相続人になるはずだった子が先に亡くなっている場合に、その子どもが代わりに相続人となる制度です。

例えば、父が亡くなった時点で長男がすでに亡くなっていた場合、長男の子である孫が相続人となります。

こうしたケースでは、

  • 被相続人の出生から死亡まで戸籍
  • 亡くなった子の出生から死亡までの戸籍
  • 孫の戸籍

なども確認しなければなりません。

相続人を確定するために、さらに多くの戸籍が必要になることがあります。


法定相続情報証明制度ができる前はどうだったのか

法定相続情報証明制度が始まる前は、相続手続のたびに戸籍の束を提出することが必要でした。

戸籍は手続先で確認が終われば返却されますが、返却を待っている間は別の手続きを進めにくいこともありました。

また、

  • 相続登記
  • 預貯金の解約
  • 証券会社の手続

などを同時に進めたい場合には、戸籍を複数セット取得することを検討するケースもありました。

被相続人の出生から死亡までの戸籍は、通数が多くなることもあります。

そのため、戸籍の取得費用だけでなく、手続きにかかる時間も少なくありませんでした。

法定相続情報証明制度を利用すれば、法務局で認証を受けた法定相続情報一覧図の写しを利用できるため、同じ戸籍の束を何度も提出する負担を軽減することができます。

この制度は、相続人の負担を減らし、手続きを進めやすくするために設けられた制度と言えるでしょう。


このような場合は確認すべき戸籍が増えることがあります

ケース確認が必要になる戸籍の例
離婚歴がある婚姻・離婚の経過が分かる戸籍
再婚している過去の婚姻関係が確認できる戸籍
代襲相続がある亡くなった子の出生から死亡までの戸籍
転籍を繰り返している転籍前後の戸籍
相続人が多数いる各相続人の戸籍

法定相続情報一覧図を見ると相続関係が整理されていて分かりやすく見えます。

しかし、その一覧図の裏では何通もの戸籍を収集し、一人ひとりの相続関係を確認しています。

一覧図が1枚だからといって、準備が簡単とは限りません。


行政書士へ依頼することもできます

法定相続情報証明制度の申出は、相続人本人のほか、資格者代理人によって行うこともできます。行政書士はその資格者代理人の一つです。

戸籍収集や相続関係の整理、法定相続情報一覧図の作成などについて、専門家へ依頼する方法もあります。

特に、

  • 離婚歴がある
  • 再婚している
  • 代襲相続が発生している
  • 相続人が多い

といった場合には、専門家への依頼を検討する価値があるかもしれません。


まとめ

法定相続情報証明制度は、相続手続きを進める際の負担を軽減してくれる便利な制度です。

一方で、その一覧図は戸籍を集めれば自動的に作られるものではありません。

被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認し、相続人を一人ずつ確定した上で作成されます。

法定相続情報一覧図を見ると1枚の書類ですが、その裏には何通もの戸籍があります。

そして、この制度の大きなメリットは、その戸籍の束を何度も提出する負担を減らせることにあります。

相続手続では、少しでも手間や時間を減らせる制度を活用することも大切です。

法定相続情報証明制度を上手に利用し、相続手続きを円滑に進めていきましょう。

参考リンク

法務局「法定相続情報証明制度について」

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html

法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

↓↓↓

「行政書士巧事務所ホームページ」

この記事を書いた人 Wrote this article

松原 巧

松原 巧