相続する気がないなら早めの決断を。親の相続放棄が子どもを救うこともあります

相続する気がないなら早めの決断を。親の相続放棄が子どもを救うこともあります

「独身の叔父とは何年も会っていないから関係ない。」

そう思っている方は少なくありません。

しかし、相続は思わぬ形で自分に降りかかってくることがあります。特に高齢化が進み、親族関係が疎遠になりやすい現代では、「知らないうちに相続人になっていた」というケースも珍しくありません。

今回は相続放棄について、「今は親の問題と思っていたことが、将来自分の問題になるかもしれない」という視点から解説します。

相続放棄とは

相続放棄とは、亡くなった方の財産も借金も一切引き継がないための手続きです。

家庭裁判所に申述し受理されると、法律上は最初から相続人ではなかったものとして扱われます。

一般的には次のような場合に検討されます。

  • 借金が多い
  • 保証債務がある可能性がある
  • 空き家や山林など管理負担が大きい財産しかない
  • 相続争いに巻き込まれたくない
  • そもそも財産を受け取る意思がない

相続というと預貯金や不動産を受け継ぐイメージがありますが、借金や管理責任も一緒に引き継ぐ可能性があることを忘れてはいけません。

よくある事例

例えば、次のような家族関係を考えてみます。

独身の叔父が亡くなりました。

叔父には配偶者も子どももいません。

両親もすでに亡くなっています。

そこで相続人になるのは兄弟姉妹です。

ところが、

  • 兄弟姉妹の一人は認知症
  • 一人はすでに亡くなっており子どもがいる
  • 他の兄弟姉妹とは何十年も交流がない

という状況です。

このようなケースは珍しい話ではありません。

兄弟姉妹も高齢になり、親族同士の連絡が取れなくなっている家庭は少なくないからです。

「自分には関係ない」が危険な理由

叔父が亡くなった時点では親が相続人だったとしても、その後親が亡くなれば、今度は親の相続が発生します。

すると、親が抱えていた相続問題や親族関係が子どもたちに引き継がれることがあります。

子どもからすると、

  • 叔父と会ったことがほとんどない
  • 財産の内容を知らない
  • どこに住んでいたのかも分からない
  • 他の親族とも交流がない

という状態かもしれません。

それにもかかわらず、相続問題への対応が必要になることがあります。

親の代で対応できたはずの問題が、先送りによって子どもや孫の世代へ引き継がれてしまうのです。

借金だけが問題ではありません

相続放棄と聞くと、多くの方は借金を思い浮かべます。

もちろん借金は大きな問題です。

しかし、近年はそれ以外にも注意すべき財産があります。

例えば、

  • 空き家
  • 山林
  • 原野
  • 管理が必要な農地
  • 老朽化した建物

などです。

相続財産として評価額があったとしても、実際には買い手が見つからず、固定資産税や維持管理費だけが発生するケースもあります。

いわゆる「負動産」の問題です。

相続の問題は突然やってくることもあります

ある日突然、市区町村から連絡が来ることがあります。

例えば、亡くなった親族名義の空き家が老朽化し、

  • 屋根が壊れている
  • 外壁が崩れそう
  • 雑草が繁茂している

といった状態になった場合です。

行政は戸籍などを調査し、判明した相続人に連絡を行うことがあります。

その際、

「空き家の管理についてご検討ください」

「相続人の皆様で対応をお願いします」

といった通知が届くこともあります。

何十年も会っていない親族の不動産について、突然対応を求められることもあるのです。

行政から連絡が来た場合の注意点

行政から通知が届いた場合、慌てて対応する前に状況を整理することが大切です。

特に次の点に注意してください。

本当に相続人なのか確認する

親族関係は複雑になっていることがあります。

まずは戸籍を確認し、自分がどの立場の相続人なのかを把握しましょう。

相続放棄ができるか確認する

相続放棄できる可能性が残されているケースもあります。

ただし、期限の問題や過去の経緯を慎重に確認する必要があります。

自己判断せず専門家へ相談した方が安心です。

勝手に財産を処分しない

空き家の売却や家財の処分などを行うと、相続を承認したと判断される可能性があります。

相続放棄を検討している場合は、行動する前に専門家へ相談しましょう。

他の相続人との関係を確認する

行政は相続人全員に連絡していることがあります。

自分だけで判断すると後々トラブルになることもあるため、他の相続人の存在を確認することが重要です。

「そのうち考える」が一番危険

相続放棄には原則として、

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」

という期限があります。

親族関係が複雑になっていたり、高齢で判断能力が低下していたりすると、対応が遅れてしまうこともあります。

「どうせ相続するつもりはない」

と思っているのであれば、早い段階で状況を確認し、必要に応じて専門家へ相談することが重要です。

まとめ

相続問題は、ある日突然やってきます。

しかも、必ずしも親や配偶者の相続とは限りません。

独身の叔父や叔母、疎遠になった親族の相続が、親を経由して自分の問題になることもあります。

借金だけではなく、空き家や山林など管理の負担を伴う財産も増えています。

相続を受ける意思がないのであれば、問題を先送りすることで次の世代まで巻き込んでしまう可能性があります。

親世代が元気なうちに親族関係や財産状況を確認し、必要があれば相続放棄を含めた検討をしておくことが大切です。

「まだ先の話」と思っていた相続が、ある日突然あなたの元へやってくるかもしれません。だからこそ、判断できるうちに準備を進めておきましょう。

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この記事を書いた人 Wrote this article

松原 巧

松原 巧